松本清張事典 増補版 (作家事典シリーズ)

詳細

• タイトル: 松本清張事典 増補版 (作家事典シリーズ) de 志村 有弘
• ISBN: 458506060X
• ファイル名: 松本清張事典-増補版-作家事典シリーズ.pdf
• 発売日: 2008/5/15
• ページ数: 536ページ ページ
• 出版社: 志村 有弘

本事典のあらまし。ー目次ー* 凡例／[1] 割愛、[2] 作品についての解説は、1) 小説・評論・回想・日記などのジャンル、2) 初出雑誌と発表年月、収録された単行本があれば、その書名（出版社・刊行年月）、3) 内容、評価または執筆者の批評、4) 参考文献という順序で執筆、[3]〜[5] 割愛。* 執筆者 一覧／全44名・女性と思しきは14名（石原吉次郎 氏〜米谷匡代 氏まで）* 第一部事項篇（全42項目／アイウエオ順）[芥川龍之介] に始まり [歴史小説] までの全42項目収録。・・・人物には／江戸川乱歩・菊池寛・田上耕作・坪内逍遥・天皇・火野葦平・三島由紀夫・森鷗外 など。他に 映画・官僚・故郷九州・女性・政治・トリック、謎解き・方言 など。（タイトルには全てルビが振られている／”田上” がタノウエと確認出来た）* 第二部作品篇（全242作品）[蒼い描点] に始まり、[わるいやつら] に終わる。（タイトルには全てルビが振られている）* 松本清張 年譜ー岩見幸恵 編ー* 全作品一覧ー岩見幸恵 編ー凡例／[1] 作品名(シリーズ名)、初出誌、(改題)、(別題)、(再録) の順に示した。[2][3] 割愛、[4] シリーズ名に属する作品でも個別に再録されている場合があるので、できるだけ夫々の作品の項目を立てた。[5]「追悼」「邪馬台国」等の関連するテーマはできるだけ一箇所になるように項目、参照を立てた。* 松本清張 主要文献目録ー岩見幸恵 編ー[単行本] 27名、各氏複数出版・[単行本所収作家-人物論] 約50名、複数所収・[単行本所収作品論] 多数・[辞書-事典]・[年譜-書誌]・[雑誌特集]・[雑誌-新聞所収作家-人物論] 約500点か？多数目録あり* 再販 あとがきー志村有弘ー* 索引（13頁）[ 索引・広告を除き 全523頁 ]気になった点について。未だ全てに目を通してはいないが、一点『或る「小倉日記」伝』の概説の一部に読者として違和感があった。その内容説明には、＞白川病院の看護婦”てる子”の協力は、耕作と”ふじ”を喜ばせ、耕作の嫁にとの期待を抱かせもしたが、この縁談は”てる子”の拒絶にあった。＜・・・とあるが「”てる子”の拒絶にあった。」とするのは理解に苦しむ。私が「小説」と云うものを読み慣れていない故の理解の欠如なのだろうか？確かに母ふじから結婚の打診が有った様だが(叙述は無い)、後日「いやね小母さん、本気でそんなことを考えていたの」と云っているように「拒絶」という表現で内容説明をするのは不適切だと思える。そもそも”てる子”との行は主題の目線ではなく、母ふじの挿話的目線と見て良いと思えるエピソードにすぎない(恋愛を暗示させる叙述を認められない)。読者は”てる子”の伏線情報「彼女の天性のコケットリイは白川病院に出入りするどの男性とも親しくしていた。彼女が耕作の家に遊びにいくようになったのも、いわば気まぐれで、深い子細が有ったのではなかった。」で明らかなように「拒絶」などという重いものではない。しかし、概説者(戸松泉氏)が母ふじの切実な深刻さに感情移入した上で「拒絶」と解釈したら否定はできない。とまれ、”清張探検” の良質なガイドブックとしてファンの座右にお薦めの逸冊である。